診療についてMedical Treatment

睡眠時無呼吸症候群Sleep Apnea Syndrome

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸が繰り返され、睡眠の分断、深い睡眠の減少により日中に過度の眠気を伴う病気です。

記憶に新しいところでは、JR西日本の新幹線の運転士が停車するはずの駅を通り過ぎたという事件があり、その原因を調査したところ、なんと、その運転士が、この睡眠時無呼吸症候群であったということがわかり、一気に「睡眠時無呼吸症候群」が病気の一つとして市民権を得たということがありました。

睡眠時無呼吸症候群が、なぜ問題となるのでしょうか。もちろん、昼間の眠気で、交通事故につながるという危険や日中仕事に支障をきたすというような直接的な問題があります。

しかし、それにもまして問題となるのは、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧を高率に合併し、心血管系・脳血管系の合併症―心筋梗塞や脳梗塞―も惹起するという、すなわち、現代の生活習慣病につながる大きな危険因子なのです。そして、“肥満”が睡眠時無呼吸症候群の誘因となる場合が多いため、ますます生活習慣病につながる二重三重の危険因子ということになるのです。

日本では、全人口の1~3%程度の方が、この睡眠時無呼吸症候群であると言われていますが、食生活の欧米化とそれに伴う肥満により、これからもっと増加するであろうと言われています。

睡眠時無呼吸症候群の症状

昼間の眠気と睡眠中のいびきが二大症状です。日中は眠気が強いため、集中力を欠き仕事の能率が低下します。また、夜間は睡眠が分断され、排尿に起きる回数が多いのも特徴です。

睡眠時無呼吸症候群の検査・診断

このような症状があれば、どうもおかしいということで検査をされることをお勧め致します。

まずは、スクリーニング検査として、“ご家庭”で、「簡易睡眠時呼吸モニター」にて睡眠時の呼吸状態、酸素状態、心電図などをチェックしていただきます。この検査で、明らかに重度の睡眠時無呼吸症候群で治療が必要と判定される場合は、治療に入ります。

しかし、睡眠時無呼吸症候群ではあるが、治療に入るかどうかをさらに判断する必要がある場合もあり、その場合は、“一日入院”で、もっと精密な検査である」「終夜睡眠ポリグラフ」にて睡眠時の呼吸状態、酸素状態、脳波、心電図、眼電図、筋電図などをチェックします。

睡眠時無呼吸症候群の治療

肥満がベースにある場合は、まず減量が大前提です。しかし、多くの場合、「経鼻的持続陽圧呼吸(nasal CPAP)」が必要となります。これは、睡眠時に肥満による咽喉頭部の狭窄があるため、呼吸するときに圧力を少しかけて、狭窄部位の気流を保ち、無呼吸を防止するという治療法です。

この治療を継続していれば、睡眠時の無呼吸が防止され、快適な日常生活が取り戻せるわけです。

お酒を飲むといびきが大きくなるあなた、メタボリックなあなた、要注意です。